男がフェイスパックなんてするか?
正直、少し前までの自分はそう思っていました。横で嫁が当たり前のようにシートを顔に貼っているのを見て、「ご苦労さまですねぇ」くらいの他人事。だってこっちは風呂上がりにタオルで顔をガーッと拭いて、そのまま放置しても特に困っていなかったわけですから。少なくとも、そう思い込んでいました。
ところがある日、嫁がパックを外しながら言うわけですよ。「まだ全然使えるよ?」と。どうやら美容液がたっぷり残っているらしい。捨てるにはもったいないとのこと。もったいないと言われると弱い。昭和育ちの男は基本、もったいない精神で動いていますからね。新品を自分で買うのはちょっと抵抗があるくせに、“お下がりなら試せる”というこの心理。皆さん、わかります?
「じゃあ…やってみるか」と軽いノリで顔に貼ったその瞬間、事件は起きました。どう見ても小さい。目の位置も口の位置も、なぜか微妙に合わない。横で見ていた嫁は大爆笑。「ちっさ!」って言われましたけど、違うんですよ。パックが小さいんじゃない。俺の顔がでかいんです。そこは認めたくないけど、現実はシビアです。
そんなわけで、50代男性の顔に女性用フェイスパックを貼るという、ちょっとシュールな体験が始まりました。今回は、そのリアルな話です。意外と悪くなかったのか、それともやっぱり男には不要なのか。少しだけ、付き合ってください。
最初は笑っていたんですよ、正直
「男がパック?」という謎のプライド
本当に最初は完全に他人事でした。嫁が風呂上がりにシートを顔にペタッと貼って、無言でリビングをうろうろしている姿を見て、「なんかすごいことしてますなぁ」くらいの距離感。こっちはテレビ見ながらビールです。フェイスパックなんて、自分の人生には関係ないジャンルだと思っていました。50代の男がですよ?化粧水すらまともに習慣になっていない人間が、いきなり“パック”。どこの美容男子だよ、って心の中でツッコミ入れてました。
正直なところ、ちょっとしたプライドみたいなものもあったと思います。男は風呂上がりに何も塗らなくても平気、自然体で十分、みたいな昭和の思い込み。パックなんてやらなくても問題ない、そう信じていたんですよね。
横で見ていて気づいてしまったこと
でもね、横で毎週のように見ていると、さすがに気づくわけです。パックを外したあとの嫁の顔、なんか違うんですよ。ツヤというか、水分感というか、「あ、ちゃんとしてるな」って空気がある。こっちはタオルでガーッと拭いて終了。数分後にはもう少し突っ張る感じがしているのに、「気のせい気のせい」とごまかしていた自分がいました。
思えば、風呂上がりに何もせず放置して、そのまま寝落ちなんてことも普通にありましたよね。でも最近、なんとなく頬がカサつくとか、目の下が乾くとか、そういう小さなサインは確実に出ていたんです。見ないふりをしていただけで。
そうなんです。完全に笑っていた側の人間だったはずなのに、心のどこかで「ちょっとだけ、試してみたらどうなるんだろう?」と思い始めていたんですよね。次の瞬間に飛び出したのが、あの“まだ全然いけるよ?”のひと言だったわけです。
“まだ全然いけるよ?”のひと言
もったいない精神に刺さる一言
きっかけは本当に軽かったんです。嫁がパックを外して、「まだ全然いけるよ?」と普通に言っただけ。美容液がまだたっぷり残っているから捨てるのはもったいない、と。いやいやいや、と思いましたよ。だってそれ、さっきまで人の顔に貼ってあったやつですよ?でもね、“もったいない”って言葉には弱いんですよ、我々世代は。昭和の教育です。使えるものは最後まで使う。乾いてないならまだ戦える。理屈じゃなくて、精神論です。
新品を自分で買うのはハードルが高いくせに、「残ってるから使ってみる?」くらいのノリだと、急に心理的ハードルが下がる。不思議なもんですよね。フェイスパックという美容行為そのものより、“再利用”というワンクッションがあったから踏み出せた感じです。これ、たぶん自分でドラッグストアの棚から選べって言われたら、まだ立ち止まってましたよ。
ちょっと半乾き、でも意外と冷たい
手渡されたシートは、確かにまだひんやりしている。美容液もぬめっと残っている。触った瞬間、「あ、これ思ったよりちゃんとしてるな」とちょっと拍子抜けしました。もっとカピカピを想像していたんですよ。でも実際は、まだ十分戦力ある感じ。嫁も「ほら、全然いけるでしょ?」と得意顔です。
ここで変な意地を張っても仕方ない。「じゃあ…やってみるか」と素直に顔に広げてみた。ひやっとした感触が意外に気持ちいい。風呂上がりの火照った顔にはちょうどいい冷たさで、「あれ?これ普通にアリじゃない?」と一瞬で思考が揺らぐ。まだ数秒しか経ってないのに、さっきまでの“男がパックなんて”というプライドはどこへやら。
そしてこのあと、あの“サイズ問題”が発覚するわけなんですが……それはまた別の笑える展開でした。
顔に貼った瞬間、事件は起きた
明らかにサイズが足りない
さて、いよいよ顔に広げてみたわけです。説明書も見ず、なんとなく目と口の位置を合わせながらペタペタと貼っていく。ここまでは順調。ひんやりして気持ちいいし、「意外と悪くないな」と思っていたその瞬間です。
……なんか足りない。
頬の端が、妙に心もとない。こめかみあたりが微妙に露出している。鼻の横も若干つっぱっている気がする。あれ?こんなもん?と思いながら鏡を見ると、そこには「ちょっと無理してるおじさん」が映っていました。
どう見ても、シートが足りていない。
嫁、大爆笑。そして真実
その姿を見た嫁が、もう笑いをこらえきれず爆笑です。「ちっさ!顔でかっ!」と遠慮ゼロのツッコミ。いやいや待て待て、と言いたい。パックが小さいんだろ?女性基準サイズなんだろ?と必死に言い訳する自分。でも心の奥では薄々わかっている。たぶんね、俺の顔がでかいんです。
若い頃は気にならなかったのに、50代になると顔も少しふっくらしてきたり、むくみやすくなったりして、サイズ感が変わっている可能性もある。つまりこれは、単なる笑い話じゃなくて、加齢の現実を突きつけられている瞬間なのかもしれません。怖いですね。パック一枚で老いを実感するとは。
それでも、ちょっと気持ちいい
とはいえ、サイズが多少足りなくても、ひんやり感はちゃんとある。頬の中心部や額、目元あたりはしっかり覆われていて、美容液もじんわりと馴染んでいく感じがする。嫁が笑いながら写真を撮ろうとするのを必死で止めつつ、内心では「これ、意外と悪くないかも」と思っていました。
見た目はちょっとコントですが、肌の感触は真面目です。乾きかけのシートなのに、ちゃんと潤いが伝わってくる。この時点で、完全に“ネタ”としてやっていたはずのフェイスパックが、少しだけ現実的な選択肢に変わり始めていました。
笑われながらも、10分間そのまま放置。さて、剥がした後はどうなったのか。そこからが本当の感想タイムです。
それでも使ってみた感想
剥がした直後、あれ?なんか違う
10分ほど放置して、そろそろいいだろうとシートを剥がしました。まず感じたのは、ひんやり感の余韻。剥がした直後の肌が、なんというか…落ち着いている。いつもなら風呂上がり数分で「あれ?ちょっと乾いてきた?」と感じるあの突っ張り感が、ほぼない。触ってみると、ぺたっとしているわけでもないのに、ちゃんと水分が残っている感じがあるんですよ。
鏡を見ると、劇的に若返ったとか、シワが消えたとか、そんな漫画みたいな変化は当然ありません。でもね、肌の表面がいつもよりなめらかというか、なんとなく整っている。これは思い込みか?とも思いましたが、少なくとも“何もしていない日”とは違うのは確かでした。
ベタつかないのが意外だった
正直、もっとベタベタするものだと思っていました。女性用だし、脂ギッシュになるんじゃないかと。でも実際は、しばらくするとすっと馴染んで、嫌な重さがない。これなら寝る前にやっても、枕が大惨事になることはなさそうです。
むしろ驚いたのは、翌朝です。顔を洗うときに「あれ?」と気づきました。いつもより手触りが少し柔らかい。気のせいレベルかもしれません。でも、全く意味がなかったとは言えない。少なくとも、“やらなかった日との差”はうっすら感じる。
50代の肌、思っているより乾いている
ここでようやく認めざるを得ませんでした。自分は「別に何もしなくても平気」と思い込んでいただけで、実際はちゃんと乾いていたんだな、と。若い頃は皮脂も多かったし、何もしなくてもそれなりに保てていた。でも50代になると、水分が抜けるスピードが早い気がする。特に冬なんて、気づいたら頬がカサカサしている。
フェイスパックが“絶対必要”かと言われれば、そこまで断言はできません。でも、「やらなくても平気」と言い切れるほど余裕もない、というのが本音です。再利用の半乾きパックでこれなら、ちゃんとした新品はどうなんだろう?と、ちょっとだけ思ってしまった自分がいる。これは小さな変化かもしれませんが、男としてはまあまあ大きな一歩でした。
さて問題は、これを続けるのかどうか。毎週やるのか?それともイベント扱いか?そこが次の悩みどころです。
50代男性の肌とフェイスパックの相性
若い頃とは、明らかに違う
ここで一つ、認めざるを得ない現実があります。若い頃の肌と、今の肌はまったく別物だということ。20代、30代の頃は、風呂上がりに何も塗らなくてもどうにかなっていましたよね。多少乾燥しても、翌朝には戻っている。皮脂も出るし、なんだかんだでバランスが取れていた。
でも今はどうか。風呂上がりに何もしないでいると、頬や目の下がじわっと突っ張る。冬なんて特に顕著です。エアコンの風を浴びているだけで、水分がどんどん抜けていく感じがある。「昔は平気だった」というのは事実なんですが、それを基準に今も語っているのがそもそもの間違いなのかもしれません。
男の肌は丈夫…は本当か?
よく「男の肌は厚いから大丈夫」と言われますよね。たしかに皮膚は女性より少し厚いらしい。でもそれと“乾かない”は別問題なんじゃないかと、今回ちょっと思いました。厚くても、水分が減ればカサつく。カサつけば小じわも目立つし、なんとなく疲れ顔にも見える。
それに、50代ともなるとヒゲ剃りダメージも長年の積み重ねです。毎日刃を当てて、アルコール入りのアフターシェーブを使って、特に保湿せず放置。これを何十年とやってきたわけです。そりゃあ、何もしていない顔より、たまにでも水分を補ってやったほうが落ち着くのは、ある意味当然なのかもしれません。
フェイスパックは“必須”ではない
とはいえ、フェイスパックが絶対に必要かと言われると、そこまででもない。毎日やらなきゃいけないとか、やらないと終わるとか、そういう話ではないと思っています。自分の場合は、“たまにやるとちょっと違う”くらいの位置づけです。
化粧水だけでも十分な人もいるでしょうし、逆にパックが合わない人もいるかもしれない。実際、敏感肌なら刺激になる可能性もある。だからこれはあくまで、「自分の肌で実験してみた結果、意外と悪くなかった」というレベルの話。
ただ一つ言えるのは、「男だからいらない」と決めつける必要はない、ということです。少なくとも、自分は“再利用のお下がりパック”で、その思い込みが少しだけ崩れました。
さて、問題はここからです。これを続けるのか?それとも今回限りのネタで終わるのか?次はそこを正直に話します。
結局、自分で買うか問題
うちは毎日じゃないんです
ここで一つ現実的な問題が出てきます。
うちはですね、嫁が毎日フェイスパックをやるわけじゃないんです。週に何回か、気が向いたときだけ。「今日はなんか乾燥してる気がする」とか、「ちょっと疲れたから」とか、完全に気分次第なんですよ。
つまりですね、こちらがパックに目覚めたとしても、供給は安定していない。完全に“嫁の気分次第”なんです。今日はやるかな?やらないかな?と横目で様子を見る50代男性。情けないけど事実です。まるで収穫待ちの農民です。今日はあるのか?ないのか?と。
俺の保湿は、嫁に依存している
よく考えたらおかしいですよね。自分の顔の水分量が、嫁のテンションに左右されているという状態。これはいかがなものか。でも実際そうなんです。「今日やらないの?」とは聞けない。あくまで自然体でいないといけない。こちらから催促するのはプライドが許さない。でも内心ちょっと期待している。
そして、やらない日はやらない日で、「まあ別にいいか」となる。このゆるさがまた、続きづらい原因なんでしょうね。自分で買えば解決なんでしょうけど、そこまで踏み込むかどうかはまだ微妙。たかがパック、されどパック。
続けるのか、イベント扱いか
正直なところ、毎日やる覚悟はまだないです。ドラッグストアで棚の前に立って、「どれがいいかな?」と選ぶ自分を想像すると、少しハードルが高い。でも、風呂上がりに「あ、今日はパック日か」となると、ちょっと嬉しい自分もいる。
だから今のところは、“嫁がやった日だけ便乗するスタイル”。完全依存型です。主体性ゼロ。でも、それくらいの距離感のほうが、自分にはちょうどいい気もしています。
これがいつか「自分で買ってくる」に変わるのかどうか。そこまではまだわかりません。ただ一つ言えるのは、もう「男がパック?」とは言わなくなった、ということです。これは自分の中では、なかなか大きな変化なんですよね。
これはあくまで俺の話
合う人もいれば、合わない人もいる
ここまで偉そうに(?)語ってきましたけど、これはあくまで自分の体験です。嫁の“まだ全然いけるよ?”から始まり、サイズが足りなくて笑われ、それでも意外と悪くなかったという話。すべて俺の顔の上で起きた出来事です。あなたの肌に同じことが起きるとは限りません。
実際、肌質は本当に人それぞれですよね。乾燥しやすい人もいれば、脂っぽい人もいるし、敏感で赤くなりやすい人もいる。フェイスパックの成分が合えばいいけど、合わなければ刺激になる可能性だってある。だから「男も絶対やるべき!」なんてことは言いません。それはさすがに言い過ぎです。
無理してやるものでもない
それに、正直なところ、毎日パックをしないと終わる、みたいな話でもないと思っています。やらなきゃいけない義務になった瞬間、たぶん自分は続きません。めんどくさい、今日はいいや、で終わるのが目に見えている。
今の自分には、“たまたまあるときに試す”くらいがちょうどいい。風呂上がりにちょっと潤う時間があって、「まあ悪くないな」と思えればそれで十分。無理して美容男子になる必要もないし、何かを競うものでもない。
ひどいときはちゃんと医療へ
そして大事なのはここ。もし肌が赤くなったり、ヒリヒリしたり、かゆみが強く出たりするなら、無理せずやめること。自己判断で続けるより、皮膚科に行ったほうが早いこともあります。年齢を重ねると、回復力も若い頃とは違いますからね。
自分は「意外とアリだった」というだけの話。これが正解ではありません。ただ一つ言えるのは、やってみないとわからないこともある、ということ。少なくとも、自分の中の“男だからやらない”という思い込みは、今回でちょっとだけ崩れました。
もしあなたも「ちょっと気になるけど…」と思っているなら、誰かの“まだ使えるよ?”に便乗するくらいからでいいかもしれませんよ。顔が大きくて笑われる覚悟さえあれば、ですが(笑)。
俺の顔はでかい。でも、ちょっと潤っている
正直に言うと、あの一回きりで終わっていません。
嫁がパックをやる夜になると、ちょっとだけ視線を送る自分がいる。「今日は…あるのか?」みたいな顔で。言葉には出しませんよ?そこはまだプライドがある。でも内心では少し期待している。これ、なかなかの変化です。
相変わらずサイズは足りません。頬の端は微妙に露出するし、鼻の横も完璧には覆えない。嫁は毎回ちょっと笑うし、「やっぱり顔でかいね」と容赦なく言ってくる。否定はしません。たぶん事実です。でもですね、剥がしたあとのあの落ち着いた感じ。翌朝のなんとなく柔らかい手触り。それが嫌いじゃないんです。
劇的に若返るわけでもないし、人生が変わるわけでもない。でも、“何もしていない自分”よりは少しだけ手をかけている気がする。そのほんの小さな自己満足が、案外悪くない。50代にもなると、大きな変化よりも、こういう小さな差の積み重ねのほうが大事だったりしますよね。
自分で買うかどうかは、まだわかりません。たぶん当分は嫁依存です。完全に他力本願。でも、それくらいのゆるさでちょうどいいのかもしれません。
「男がパック?」と笑っていた頃の自分に言うとしたら、こうですね。
別に、やっても減るもんじゃないぞ、と。
顔はでかいままですが、ちょっと潤っている。
まあ、それで十分じゃないですか。






